あぁ、エマイユ(ここでは透明のエマイユ)が上手く発色しなかった、斑だらけになってしまった、やり直したい、エマイユでそんな失敗を経験したことはありませんか? 今回は簡単に手に入る材料を使ってエマイユを剥がし落とす方法について。
その方法とは「5%のクエン酸水(水100㏄当たりクエン酸5g)にガラスを浸す」というものです。
濃度については絶対に5%でなければならないということはないと思います。私自身の実験の結果ではこの濃度に浸し、時々使用済みの歯ブラシで擦すことで数時間できれいに落ちました。
上の写真はクエン酸水に浸したガラスの色がどう落ちるかを時間の経過とともに観たものです。トレーには4枚の色を付けたがガラスを浸してあります。これら4枚のガラスのうち左側2枚はエマイユを施したもの、右上は色グリザイユ、右下はシルバーステインを施したものです。時間の経過とともにエマイユは徐々に落ちてきていますが、グリザイユとシルバーステインについては変化がありません。
エマイユは基本的にはそれまでグリザイユで施した絵付け面とは逆の面に施すので、絵付け面を保護した上で腐食、サンドブラストといった方法でエマイユを落とすことは可能です。ただ、こうした手法に必要な設備は決して身近なものではありません。また、エマイユをグリザイユ絵付け面と同じ面に施した場合には、これらの方法ではエマイユだけでなくグリザイユ絵付けまで取り除いてしまう可能性があります。
エマイユはグリザイユに比べて焼成温度が低いことから、使う場合には絵付けの最終工程となるのが基本です。そんな最終工程で失敗したら泣くに泣けません。そこに身近なものによる救いの道があったら。その身近なものがナチュラル洗剤の材料の一つであるクエン酸です。その水溶水は家内掃除にも活躍するもので、クエン酸は100均でも取り扱ています。
エマイユを落とす(取り去る)のにクエン酸水が使えるのではと思ったきっかけは、とあるサイトでヒュージング時にガラスに融着した離型剤を剥離させる方法として紹介されていたことです。エマイユはハンダの仕上げに使うパティーナが付着するとダメージを受けますが、この性質を利用すればパティーナで取り除けるということになります。エマイユが酸に弱いとなればクエン酸でも落とすことができるのではと考えたわけです。ちなみにこのブログサイトはキルンワークに関するアイデアや助言が盛り沢山ですので参考にされると良いと思います。
実際に自分がヒュージングガラスに融着した離型剤の剥離を試みた様子と結果が以下の写真です。参照サイト情報では4時間ほど浸すとありましたが、2枚目の写真に至るまでは1時間ほどだったと思います。3枚目の写真の通り、ガラスにべっとりついてしまった離型剤はきれいに剥がれ落ちました。
蛇足ですが、エマイユの失敗といえば・・・
エマイユを焼き付ける時はエマイユ面は必ず上向きでければなりません。エマイユ面を下にして棚板に接する形で焼成すると、多くの場合に離型剤がガラスに付着してしまいます。私自身そんな失敗を何度かしました。絵付け面と反対の裏面にエマイユを施した後、すでにグリザイユで作業をしていた表(おもて)面に再度グリザイユを施したいと思うことがあるのです。グリザイユの焼成温度はエマイユより高いので、エマイユを施した後に再度グリザイユで作業をするのはできれば避けたいところではあるのですが、時ににその必要を感じることがあるのです。そして作業を終え、さぁ焼成、と思った時に、前段階でエマイユで作業をしていたことをすっかり忘れ、作業を行ったグリザイユ面を上にして(=エマイユ面が下)焼成してしまったのです。クエン酸水が役に立つと知ったのは今年(2022年)になってのことですから、それまでは仕方なく結果を受け入れたり、パティーナを浸した綿棒や布でこすってみたりしたものです(きれいにこすり落とせたためしはありません)。
最後に、エマイユを施した面を下(棚板側)にして焼成するとどうなるかが見て取れる投稿がユーチューブにあったのでリンクを貼っておきます。https://youtu.be/YxEKeZRN_Gc このビデオで投稿者はエマイユを施した面を下にして焼成しています。その結果、離型剤とエマイユが融着してしまいました(14分ほど経過した辺りからの映像)。彼女はエマイユを施した面を下にして焼成してはいけないということを知らなかったようですが、この事例もクエン酸水で解決できます。






