サンドブラストとファイアーポリッシュについて失敗例も交えてお話したいと思います。
絵付け作品の制作に於いて、時に被せガラス(=フラッシュガラス=クリアーガラスに色ガラスを被せたガラス)を使い、一部を色落としすることがあります。この作業を行う方法としては①腐食と②サンドブラストがありますが、ここではサンドブラストによる作業が前提です。尚、①の腐食作業についてはこのページの末尾で少し触れたいと思います。
サンドブラストを行う準備をします。左の写真にあるように、ガラス全体にマスキングシートを貼り、砂を当てる部分(色ガラスを削り落とす部分)をナイフでカットし剥がします。
露出している色ガラス部分に砂を吹きかけ色ガラスを削り落とします。この作業がサンドブラストです。左はサンドブラストを終えた直後のガラスです。色ガラスがすっかり削り落とされています。
サンドブラストを終え、マスキングシートを剥がしたところです。サンドブラストしたところはザラザラで半透明状態です。半透明の状態をみていただくために、左の2枚の写真の右側ではサンドブラストを施したガラスの上部にクリアーのガラスを置いてみました。見にくいですが、何とか透明度の違いがおわかりいただけるでしょうか。
サンドブラストを施したところにそのまま絵付けをしても、顔料が砂が当たってザラザラした表面に沁み込むように入り込んでしまい、きれいな絵付けが出来ません。 そこで、ガラスを700℃ほどで焼成します。すると、サンドブラストを施した部分の表面が滑らかになり、透明感も蘇ります。これをファイアーポリッシュといいます。ちなみに私の電気炉では670℃で焼成しています。
サンドブラスト後の処理としては、ファイアーポリッシュのほかに、サンドブラストした部分にデポリという顔料を施して焼成する方法があります。デポリはすりガラスのような透過光を抑える効果を出す時に絵付け面と反対の面に使います。「すりガラスのように」ということですので透明にはなりませんが、表面がデポリにコーティングされてなめらかになり絵付けができるようになります。
最後に失敗例を(ちなみに、上記の写真はこの失敗の後にやり直したものです)
サンドブラストを行った後、670℃ほどでファイヤーポリッシュをしたつもりでしたが、とっくに終えているはずのプログラムがまだ「END」になっておらず、プログラムは継続中で炉内温度が590℃と表示されていました。よく見ると、2つ設定している焼成プログラムのうち、最高温度を800℃ほどに設定しているヒュージングのプログラムで焼成していました。ヒュージングプログラムで焼かれた被せガラスはこんな無残な姿になってしまいました。写真ではわかりにくいかもしれませんが、それぞれのガラスは当初より一回り小さく、周囲が盛り上がり中心付近が窪んでいます(いわゆる6㎜ルールなるものによるものです)。高価なガラスですのでこんな失敗は避けたいものです。
— 腐食作業について—
腐食作業は古くから取り入れられている方法で、溶液にさらされた色ガラスを溶かし落とすので、作業後のガラス表面は滑らか且つクリアーなため、サンドブラスト作業後に求められる上記の作業は不要です。しかしながら、腐食作業で使うフッ化水素酸は極めて危険で、十分な設備と厳重な管理、安全に留意した慎重な取り扱いが求められます。ガラスを溶かすほどの溶液ですからどれ程危険なものか容易に想像がつくというものです。私が絵付けを学んだステンドグラスアートスクールでも、入学した年は腐食のための設備を使用することができましたが、2年目に入った年に設備は撤去され、サンドブラスターに置き換わりました。





