ガラスの表裏-フロートガラスを使う時の注意点

絵付けをするときにガラスの表裏は意識する?

絵付けで多く使われるアンティークガラスではそもそも表裏があるのか私自身わかっていません。従って、自分で絵付けをしやすい面を勝手に表と決めています。例えば、私が主に使うランバーツ社のガラスは片側にいくつも筋が入っています。絵付けをするときにこの筋に顔料が入り込み、筋が際立ってしまうため、私は筋がない方に絵付けを行うようにしています。

時に、主に練習や試作用にフロートガラス(ウィンドーガラス、工業用ガラスなどと呼ばれるごく普通のガラス)を使うことがあります。今回は、そのフロートガラスの話を少し。 

フロートガラスの発色サンプル

右側:スズ面

左の写真はフロートガラスに赤系の透明エナメル、黄色に発色するシルバーステインを施して焼成したものです。同じ顔料なのに明らかに色が違うのがわかります。

顔料を薄く塗ったり厚く塗ったりで色の濃度が異なることはありますが、このサンプルでは全く異なった発色をしています。特に赤系のエナメルはその違いが顕著です。

どうしてこういう結果が起こるのでしょう? それはフロートガラスの製造方法にあります。フロートガラスは溶けたスズの上に溶けたガラスを浮かべて板状に成型されてできています。 結果、片面はスズの薄膜が覆っていることとなります。そして、このスズ面を使った場合、エナメルによっては黄色っぽく変色してしまいます。青が緑っぽく、赤がオレンジっぽく、と。

絵付けに安価なフロートガラスなんて使いません!という方でも顔料(グリザイユ、エマイユ)の色見本を作るときにフロートガラスの世話になることはありませんか? 事実、私が絵付けの勉強をしたアートスクールでは絵付けはもっぱらサンゴバン社のアンティークガラスを使っていましたが、色見本の作成にはフロートガラスを使っていました。

ということで、フロートガラスに絵付けをするときは、上の写真からもわかる通り予め表裏を見極める必要があります。便宜上、スズ面、非スズ面と表記して説明したいと思います。

フロートガラスのスズ面、非スズ面はどう見分ける?

いくつか方法がありますが、まずは私が普段使っている2つの方法をご紹介します。一つはUVライトを使う方法、もう一つは水とスポイトを使う方法です。

尚、究極の方法は同じガラス板から小片2枚を用意し、異なる面に赤の透明エナメルを施してみることです。但し、この方法は窯による焼成が必要となり、時間と手間がかかりますので、フロートガラスを多用される方にはこれから説明する2つの方法のいずれかがお薦めです。

① UVライト(紫外線ライト)

紫外線は長波、短波があるようですが、ここで必要なのは短波紫外線ライト(shortwave UV light)です。

左側:スズ面

暗い部屋でガラス面に紫外線を当てると、非スズ面(写真右側)はほとんど濁りは見えませんが、すず面(写真左側)は白濁したように見えます。見分けには多少の慣れが必要ですが、慣れるに時間はかかりません。見分ける方法としては一番だと思います。

 

 

② 水とスポイト

スポイトで吸い取った水をガラスに垂らして判断する方法です。

右側:スズ面

2~3センチ上からガラス面に1滴垂らします。非スズ面は水が広がりますが、すず面は水が玉のようにもっこりします(表面張力?)。この方法を使う場合はガラス面がきれいであることが絶対条件です。

UVライトを使った判別法同様に見分けに多少の慣れは必要ですが、慣れるに時間はかかりません。UVライトのように暗がりである必要はなく手っ取り早い方法ですので、私はひとまずこの方法を採り、判断に迷いがある時にUVライトで確認するようにしています。

③ 他には?

日本のガラス屋さんのサイトではガラスのカット面で判断するという方法が紹介されていましたが、私のようなユーザーには不向きでした。また、Youtubeには3つの方法をひとまとめにして紹介する動画がありました。この動画では私も使う上記①②の2つの方法も紹介されていますので是非参考にされてください。このYoutube動画にある3番目のガラスの両側に掌をあてて感触で判断する方法はなかなか厳しいと思います。彼の説明によれば、very very very smoothな面(非スズ面)とvery smoothな面(スズ面)ということなのですが、私のような汗っかきにはどんなに掌をきれいにしても判断できそうにありません。そういえば、舌で舐めて判断するという方法も観た覚えがあります。味ででも判断するのでしょうか? いや、掌での判断同様に舌ざわり(滑らか、より滑らか)で判断していました。

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copper red(カパーレッド)なる顔料

copper red(カパーレッド)は黄色に発色するシルバーステインと同類ながら、赤色に発色する顔料です。

 a baby in a mother's handカパーレッドを施したガラスは、クリアーと赤の二層になるので、写真の作品の背景のようにサンドブラストで表層の赤い部分を削り落とすと、高価なフラッシュガラス(クリアーに色ガラスを被せた二層のガラス)同様の効果が得られます。

但し、このカパーレッド、どんなガラスでも発色するわけでなく、発色するのは工業用ガラス(フロートガラス)のTIN(錫)面、ブルザイ社とスペクトラム社(現オーシャンサイド社)のヒュージング用ガラスのうちのReactiveガラスのみです。また、日本国内で取り扱っている会社があるかどうかは不明です(私が取引させていただいている2社での取り扱いはありません)。

今回の作品では工業用ガラスを使用し、摂氏650度、30分キープで焼成しましたが、発色は淡い赤(オレンジがかった赤)でした。メーカーであるフランスのDebitus社のサイトでは「焼成温度は摂氏580度以上。使用するガラスや焼成条件により淡い赤から濃い赤を表現できる」とあります。また、この商品を扱うオランダのPELI GLASS社のサイトでは「焼成温度は摂氏580度から700度で少なくとも30分(PELI社では45分)キープ」とあります。

赤を表現する顔料としてはエマイユ(透明エナメル)があります。エマイユはガラスの表面に焼き付けて付着させるので経年劣化が起こりますが、カパーレッドは成分がガラスの中に入り込みガラスと一体となるため経年劣化(と言っても、条件によるものの数百年単位)を起こしません。効果が得られるガラスが限定されること、焼成条件によって表現できる色が変わる(後日条件を変えてサンプルを作りたいと思います)ことなど、使用にあたっての留意点はありますが、利用価値は十分にありそうです。

 

 

 

 

 

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